借金で離婚すべき?慰謝料や子供の養育費について解説!

   

結婚して子供を授かり、幸せな人生が待っている…
子供が産まれた直後まではそう信じて疑わなかった主婦のAさんは現在離婚を検討しています。

3年前、大恋愛を経て現在の夫と結婚、直後に妊娠が判明して幸先の良い結婚生活をスタートさせたAさん。
その後、無事に息子が産まれてAさんの幸せは絶頂でしたが、後に里帰りを終えたAさんを待っていたのは衝撃の事実でした。

夫が借金をしていたのです。

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使途は飲食代、借金総額はおよそ30万円でした。

Aさんが自宅を空けたおよそ2ヶ月、夫は弾けに弾けていたのです。
Aさんも自分も知らないうちに夫を抑えつけていたのであろうという思いから「もう内緒事はしないで」との条件で夫を許し、借金の完済に協力をしました。

その後しばらくは平穏に過ごしていましたが、徐々に仕事を理由に帰宅時間が遅くなっていき、帰らない日も多くなってきました。

おかしいと感じて問い詰めると、再び飲み歩いていたのです。

最初は上司や取引先に無理矢理付き合わされて…と言っていましたが、再び借金をしている事も判明し、大判振る舞いで友達や同僚と夜な夜な飲み歩いていており借金額は前回を遥かに凌ぐ100万円

家計にも何食わぬ顔で毎月生活費を入れて連日自分の奢りで飲み歩いていれば当然の額でした。
この嘘つきで借金癖のある性格は直らない、子供のためにもならないと判断して離婚を検討、現在に至ります。

借金で離婚すべき?

Aさんが現在、離婚を「検討」で留まっている理由としては子供の事でした。
借金は完全に私たち親の責任であり、子供に罪は一切ないことなのに100万円という貯金を切り崩せば何とか返せる額を自分の感情で離婚してしまって息子を父親がいない家庭の子供にしていまっていいのかという葛藤がありました。

しかし前回の約束もあっさりと破られてしまった上での今回の借金、どう考えても許しがたいもので今後息子に有益な親であることが考えられなかったのです。

借金による離婚は「婚姻を継続しがたい事由」に該当するのですが、法律的には「借金があるから」だけという理由だけでは離婚をよしとせず、その背景を考慮しようとします。
借金の額が夫婦で頑張れば何とかなるほどの少額であったり、夫婦共同の住宅を買うためにした住宅ローンの返済がしんどいから離婚したい!などの理由では離婚は認められないのです(協議離婚は別)。

今回のAさんの場合は、100万円と借金の額も決して大きすぎるわけでもないのでこれだけだったら離婚までしなくても…と思いますが、Aさんの夫はAさんから再三「もうしないでね」と言われた上での再犯であり、その裏切りにあったAさんの気持ちを考慮すると充分「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するものとみなされるのではないでしょうか。

現実的にもこのまま信用でいない夫と生活を続けてもいいようにはいかないし、夫の借金や嘘をつく癖はこれから大きくなる子供にとってもいい影響があるとは思えないので離婚するには充分な理由になるでしょう。

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借金で離婚したら慰謝料はもらえるのか?

夫の借金を理由で離婚する以上、夫には経済力はほとんどないと解釈しておくのがいいでしょう。
「ない袖は振れない」、まさしくこの言葉がぴったりです。

何度も裏切られてきた精神的苦痛もあるでしょうが、ここは無理に請求しても大した額は受け取れないのに話し合いだけがだらだらと長引くことがあります。

そして、仮に慰謝料の支払いにこじつけたとしても相手が万が一借金を苦に「自己破産」を選んだ場合が少し厄介です。
原則、慰謝料は免責不許可事由(自己破産してもチャラにならない支払い義務)なのですが、このAさんのケースの場合は免責される恐れがあるのです。

故意的にAさんを苦しめてやろうと意識して借金をしてきたわけではないので免責の可能性があります。DVや不倫などの明らかな悪意(配偶者をわざと・意識して傷つけること)が原因の離婚の場合はこの限りではありません。

離婚した場合の生活を考えると慰謝料を請求したい気持ちは分かりますが、あてにはしないほうが得策でしょう。

借金で離婚したら子供の養育費はどうなるの?

よくドラマや人から聞く話で、「もう夫とは縁を切って今後の接触は取りたくないので養育費はいりません!」という妻の発言を耳にします。

しかしこれは間違っていて、養育費は子供の権利なので親が放棄することは出来ないのです。

そして夫も借金があるのだから養育費なんて払えない!なんて言い逃れも出来ません。子には親の借金によって生活を脅かされていい理由なんてないのです。
もしAさんが養育費を放棄したとしても息子が養育費を請求したのなら、夫はそれに応じなければいけません。

借金があっても定職に就いている夫なら強制執行認諾文言の明記が入った「公正証書」の作成をすることをお勧めします。
公正証書とは公証役場で公証人立ち合いのもとで作成する書類のことで、その効力は裁判所で確定した「判決」と同様のものがあり、夫がどれだけ嫌がっても強制執行に出ることが可能な威力があります。
公正証書があることによって、養育費の支払いが止まった場合、一定の条件で煩わしい手続きをすっ飛ばして強制執行を行う出ことが出来る(ただし100%ではないし、例外もあります)というものです。

子供が親の借金によって充分な教育や最低限の生活をすることが出来ないなんてことがないように、養育費のことに関してだけは感情に流されず慎重に考慮していきましょう。

まとめ

Aさんは現在も離婚をするべきか夫婦再建を目指すべきか悩んでいる真っ最中です。
離婚によってAさん自身の精神的な安寧の獲得や、息子への悪い影響は回避できるかもしれません。
しかし、これらを踏まえた上で、この時点で離婚のメリットは少ないように感じているのです。
(100万円は返せない額ではない・慰謝料は期待できない・養育費も恐らく雀の涙程度)

これ以上やっていけないわと感じたら離婚もありでしょう。しかし迷っているうちはとことん迷って納得のいく答えが出るまで離婚について勉強しましょう。

そしていい結果を自らの手でつかみ取ってください。

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