ラマダンとは水もダメ 明けた時の楽しい行事は?

   

『ラマダン月にはテロが起こりやすいので注意!』とテレビのニュースで流れます。「あ~そうなのね、そういうイメージなのね」とつぶやく。ムスリムとしては他人事ではないけれど、遠い日本にいる私には、そんなことより目の前の断食そしてイフタール(断食時間の後に食べる夕食)が楽しみなのです。

以下、日本でイスラム教徒(ムスリム)として生活している女性にインタビューしたことをもとに書いてみます。

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ラマダンとは?

「ラマダンしてる」(=断食してる)という使い方をついしてしまうので、ラマダンは断食の意味と思われがちですが、ラマダン月というのはイスラム暦の9月にあたる月の名前です。日本でいえば長月?

日本の旧暦には詳しくないですが、イスラム歴は太陰暦で月の満ち欠けを目安に月が改まります。29日と30日の月を繰り返し、1年は354日となります。日本のカレンダーとは11日ほど違うので、ラマダン月は毎年ずれていきます。冬にしていた断食がだんだんとずれ、今(2017年現在)は夏前の6月。日が高いので断食時間はかなり長いです。

ラマダンは水もダメ?

断食の時間は日の出と日の入りの時間を基準に決まります。なので日の出が早く、日の入りが遅い季節はかなり長い時間、水も食物もとらないことになります。そんなの無理!と思われた方、確かになかなかしんどいです。若い時にはこれは我慢大会か!と思いました。空腹がこれほどつらいことだとは。

特に終了時間前の1・2時間前なんてもう気力尽き果てています。ただただ何もせず流して過ごしたい。イスラムの国々(イスラム国ではない)であれば、この月は仕事が早めに終わるなどの特別スケジュールになるようです。またいろいろな失敗やいねむりなども大目に見られることでしょう。日本ではそれは無理。これが日本で暮らす場合のしんどさです。

ラマダン明けは楽しい!

ラマダン月は、断食明けの夕食が特別メニューだったりします。このときだけの特別レシピや食材があり、また品数も多く、毎日のようにごちそうが並びます。ただしこれは供される側の話。作る側である主婦にとっては味見もできない、空腹で力も出ないのに豪華な食事を作らなくてはならないわけで、しんどいのではと思います。でもきっとイスラムの国々では女性たちが皆で協力してわいわいと作ったりするのでしょう。ラマダン月はお互いに食事に招き合い、ともに食べることを推奨されています。

日本であればどうするか。いつも通りの仕事を必死でこなした後にごはんを作る元気なんてありません。気力を保っていつも以上の仕事をするつもりで頑張れるよう自分を保つのが精一杯ですもの。ラマダンのにぎわいなんてあったもんじゃありません。でも楽しいこともあるんですよ。それはモスクへ行くこと。

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この時期のモスクでは、毎日無料で食べ物が食べられます。日の入りの合図とともに、まず水分をとり、なつめやしや果物、揚げ物などを軽く食べ、夕方の礼拝をします。その後に本格的な食事です。モスクにはモロッコ人、トルコ人、インドネシア人、パキスタン人、スリランカ人などさまざまな国の人が集まり、いろいろな国の言葉が飛び交います。モスクによって国の割合が異なり、当然お料理もそれに左右されるので、この時期にはいろいろなモスクに行って各国料理を堪能する(無料で!)人もいます。

今年行ったモスクでは、スパイシーな炊き込みごはんとカレーでした。炊き込みごはんは当然特別なお米で、カレーは何時間煮込んだのかわからないほど大きな塊肉がゴロゴロしています。食べるとほろりととろけるやわらかさ。おまけにナンも出てきました。さきほどの揚げ物にはなんだかわからないけど辛くて酸っぱい手作りソース。あれこれ食べたら大満足です。

夕食後しばらくたつと、ラマダン月だけの特別な礼拝があります。モスクによっていろいろでしょうが、たまたま行ったところではひたすら立って座っての繰り返しをする、まるで修行のような礼拝でした。それはそれでおもしろかったです。

夜遅くそういった礼拝があることもあり、モスクには多くの人が集まります。この月はお互いが親交を温め合うときなのですよ。すきっ腹を抱えて集まり、おいしいものを共に食べる。これだけでもう十分幸せです。今はグルメばやりで、おいしいと聞いてはあちこちに出向く人が多いですが、その前にちゃんとおなかを空かせていけば、すべてがおいしいです。食べられる、ただそれだけでうれしくて笑ってしまう。そんなときには国の違いなんて関係ありません。

他にもいろいろ楽しいことはたくさん!

ラマダン月明けの子供たちには日本のお年玉のようにお金が渡されること、断食明けの時間を太鼓で知らせるなどお祭りムードがあること、ラマダン月の始まりは月の目視確認から始まるので「見えた」「見えない」と言葉を交わしながら、皆で夜空を見上げるなど、たくさんの特別なことがあります。お祝い月、お祭りみたい。これがラマダン月のイメージです。

イスラムの国々では、このときだけはお店も昼よりも夜の営業に力を入れるので、夜の街に繰り出して買い物やらを楽しむという話も聞きます。日ごろは夜のおでかけをしない子供たちもこのときだけは許される。ただそれだけで楽しかったと聞きます。

まとめ

何もかも自由にできる世の中だからこそ、不自由な思いすると、それが解放されたときがこの上なく幸せな瞬間になります。人は幸せを求めて探して大変そうですが、ムスリムたちは案外身近で、当たり前のことでこの上ない喜びを感じているのです。

これって、エコじゃない?と思うのですが、皆さんはどう思われますか。

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